タイムスタンプ記録者による、コラックとその飼い主との友情の軌跡である
モニターの前の皆さん、ハンカチのご用意を
(「*」の部分は編集者が改行したところです)
2008/04/04(金) 23:24:50 ID:+h58Ovz10
20/08.442/258
今日は新兵器のテストを行う予定だ。どのような兵器かというと、ごく普通のガンタイプの射撃武器だ。
製作スタッフが言うには小型ながら自動チャージ機能を搭載し、尚且つ最大チャージ時に生物や機械に
ヒットさせると長時間の行動不全を与えるらしい。つまりは麻痺症状を起こすものだ。
さっそく修練所に適当な生物を連れて、このガンの性能のチェックだ。
………とは言うものの、培養タンクに収められたメトロイドや、その他の実験生物を勝手に連れ出すのは
処罰の対象。そもそもメトロイドでテストなんて自殺行為すぎる。もちろん、周辺の計器に向かって撃つなんてもっての他だ。
しかたがないので、下っ端のメタパイレーツ共の所へ行く。
奴らなら、何かしらドローンの古いオモチャとか、電子機械を持ってるかもしれないからだ。
…そういえばこの前、下っ端の癖して隠れてペットを飼ってやがった奴がいたな。
オマケに餌を買う予算が無いから、実験生物用の餌を隠れて取ってやがった。
俺に見つかった途端、何度も土下座して許してくださいとか言って来たもんだから、注意だけしてその時かぎりは見逃してやった。
その時黙っててやった礼を今から払ってもらおう。なあに、可愛くて尊い命から俺達を守る武器が出来上がるんだ。そのペットだって喜んでくれるさ。
まぁ効果は麻痺なんだからひょっとしたら死なないかもしれない。そこはちゃんと説明してやろうと思う。
2008/04/05(土) 20:15:43 ID:MyHepBLI0
20/08.451/856
昨日は新たに開発された新兵器の試行日だった。そのはずだった。
我が友が最下級兵達の寮に標的の採取に行くと、必然的に私は修練場のフリータイムを予約することになり、
予約を済ませて、修練場内のゴミを処理しながら待っていた所、どういうことか何時まで待っても彼が来ないではないか。
どうしたのだろうと、最下級兵達の寮に足を運ぶ。
古いゲートを開いて、最初に目に入ったのは慌てふためく最下級兵達だった。
何事かと問いただすと、なんと我が友人が、最下級兵の飼っていた動物に殺されたという。
これでは新兵器の試行どころではない。本拠地内部で、しかも門弟同士がトラブルを起こすなど
ダークサムス様もお嘆きになられることだろう。直ちに飼い主を逮捕し、上層部に連行した。
しかし、この一件は私にとって非常に興味深い。
その時の状況を端的に言えば、被害者である私の友人と犯人の最下級兵が口論となっていた。
口論の詳しい内容は、私は蚊帳の外に置かれていたため知る由も無いが、恐らくは私の友人が強引に
愛玩動物を渡すように迫ったのだろう。あくまで私の予想に過ぎないが、この事実性は高いらしく
動物愛護心を持つ同胞達は被害者に問題があると意見を寄せている。
しかし、私の興味心を引き出したのはそこではない。問題は、その連れられようとしていた動物が
飼い主に命令されたわけでもなく、飼い主を脅す私の友人を敵と見なし、襲い掛かったということだ
これは飼い主との絶対的信頼が無ければなりたたいことなのである。動物の脳にチップを埋め込んで、
その動物を自在に操るというのは私も以前行われた実験に参加し、操作主として体験したが、これは別の次元の問題だ。
とにかく、最下級兵を尋問して詳しい事情を聞く事にしよう。話はそれからである。
この施設内の事件によって新兵器の実験は一時中断となった。兵器開発部門の担当者はご立腹だろうが、私の興味は
すでにこの一件にのみにしか寄せられていない。それにしても、友人が死んだというのに嘆きもしないとは、私もドライになったものだ。
(ログ保管係のまとめにも同じものあり)
2008/04/06(日) 22:37:02 ID:V/c8JIQi0
20/08.462/210
先日の一件は一段落した。我々が今までに体験してきたトラブルの中でも、これは珍事に入るだろう。
ダークサムス様のためならば犠牲も厭わない我等であるが、こういった事件は少なからず御しがたい部分もある。
そう。死ぬのならば、ダークサムス様のために死ぬべきなのだから。
結局のところ、逮捕された下級クラスの兵士がどうなったかと言えば、一定期間の配給のカットと謹慎処分。
………渡されたデータを眺め、私は疑問に思う。
階級の違いはあれど、同志を間接的に殺害したのならば銃殺か、それに近い処罰が下されるはず。
おまけに愛玩動物は未だ処理されていないらしい。これはどういうことなのだろうか。
何か上層部の思惑がちらつく。殺害された一般兵士のデータを見直すと、これもひどい。
過去に何度も軽度の処罰を受けている。計器を悪戯したり、トイレの清掃を怠ったりと、どれも頭の痛くなることばかりだ。
一方で今回処罰された下級兵士のデータといえば、今現在データの閲覧は不可能となっている。
どうやら大規模な修正が行われているようだ。しかし私の知る由もない。
被害者の友人は自ら率先して、加害者のスピリチュアルセラピーを行っているらしい。
メトロイド、基地の拡大の件、運営費、銀河連邦、サムス・アラン。我々の抱えているまだまだ問題は山積みだ。
早期解決を急がねば、ダークサムス様のお逆鱗に触れることになるだろう。
ちなみにダークサムス様を疑った者、背信的な出張を持つ者、影口を言った者はその瞬間に全人権を失い、拷問、あるいは処刑の対象となる。
当然のことだ。これは疑問の余地もない。
2008/05/18(日) 21:49:56 ID:YDQWVLCc0
20/08.5182/114
最下兵クラスから、俺は一気に騎乗兵員へと昇格された。
パイレーツ内にてペットを飼うことができるのは、一般兵からである。
が、それは階級制というわけではなく、単純に給与の額の問題なのだ。
最下兵だった俺は当然ながら、ペットを飼う予算は無かった。そのため、食堂の残飯をこっそり盗みだしたり、
科学班の実験生物用のエサを盗み出したりして、飼っていたペットの食費を浮かせていたのだ。
しかし、とある一般兵に現場を目撃されてしまった。頭を地面に付けて謝罪し、二度としないことをその時誓った。
そのため、上層部にはこのことは伝えられず、不問となったが、俺は奴に弱みを握られてしまったのだ。
少ない給料でエサを購入し、自分のペットの世話をしていたところ、『その一般兵』が俺のもとに来た。
彼は実験用の的となる生物をよこせと言って来た。しかし、今までずっと世話をし続けてきた家族を渡せるわけもなく、
なんとか諦めてもらおうとしていたが、その一般兵が銃を俺に向けてきた。
しかし、それを見た俺のグラマンサが、その一般兵を食い殺してしまった。
当然、飼い主である俺は逮捕され、尋問の後、しばらく謹慎することになった。その間、グラマンサとは引き離された。
謹慎中の時もずっとグラマンサが心配だった。
だが、謹慎から開放されるのは思っていたよりも早かった。上層部の人達が俺のもとに来て、
昇格届けを渡して去っていった。その時、俺は何がなんだか理解できずにいたのだが、答えはすぐにわかった。
凶暴らしいグランチュラーを手なずけていた功績が認められたというのだ。グランチュラーのグラマンサが食い殺した奴の
親友の女の人が、このことを上層部に報告してくれていたらしい。任務の成果によってはグラマンサと再会できるかもしれない。
コラックの世話と騎乗兵としての演習をこなし、今にいたる。コラックの背中に跨るのは中々誇らしい。
初陣はソーンジャングルの警備だが、最下兵時代は数人で行動していたため、非常に緊張する。
しかし、二人の航空部隊の先輩が励ましてくれたので、少し勇気づいた。
サムスでもなんでも来て見やがれってんだ!
もしサムスをこの手で倒したら、謹慎中ずっと俺の側にいてくれた一般兵の女の人に一言お礼を言いたい。